AKIRA-12

見えないものの存在――
ラジオもテレビも、電波という名の電磁波で繋がっていることは、誰もが知っている。
けれど、テレパシーはどうなのだろう?

まったく違う場所にいる二人が、何の媒体も通さずに心で会話を交わす。
電磁波も、電話線も、Wi-Fiすら介さずに。
それはいったい、どうして可能なのか?

この謎について、私はずっと考え続けていた。
そしてあるとき、ふと気づいたのだ。
私のすぐそばに、その答えを知っている人物がいることに。

彼(あるいは彼女)は、決して多くを語らない。
テレパシーという言葉を口にすれば、笑って否定する。
「そんなのは非科学的だ」と、軽くあしらわれる。

けれど私は知っている。
その人の目が、時々、遠くを見るように虚空を見つめるとき――
まるで誰かと、言葉を超えた会話をしているような、静かな緊張が走るのだ。

もしかして、この人は――
テレパシーを使える者たちの「同志」でありながら、
その秘密を外の世界から守っているのではないか?

信じる者と信じない者。
見えるものと見えないもの。
その境界の上で、私の探求心はさらに深まっていった。

続く

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