
2017-07


AKIRA-5
夜の川辺は、しんと静まり返っていた。遠くで蛙の鳴き声がぽつりぽつりと聞こえるだけで、風もなく、水面は鏡のように穏やかだった。Akiraは、橋の上からじっと水面を見下ろしていた。片手には、すでに火をつけたロケット花火。緊張で少し汗ばんだ手の中...

初もの茄子
ホームデポから買ってきた茄子とトマトの苗も順調に成長し実を結び、茄子もう収穫しても良いぐらいの大きさになりいつもぎ取ろうかと迷ってます。茄子は2種類の苗を買ったのですが、一つが千葉、もう一つは四国とローマ字書かれてました。どうやら千葉と書か...

AKIRA-4
夏といえば、誰がなんと言おうと花火だ。中でも、AKIRAが夢中になっていたのは――水中花火だった。街は夕焼け色に染まり、暑さがようやく和らぎはじめると、AKIRAはそわそわと橋へ向かった。手にはいくつかの花火と、擦り減ったライター。川の流れ...

AKIRA-3
チリンチリン…… チリンチリン……古ぼけた黒電話のベルの音が部屋の静けさを破った。「はい、川崎です」寝ぼけ眼で受話器を取ると、受話器の向こうから甲高い声が飛び込んでくる。「ばあちゃんに代わって」「ばあちゃんは今いないです」「じゃあ、帰っち来...

AKIRA-2
今日は、いつもよりずっとまぶしい朝焼けで始まった。窓を開けると、むわっとした蒸し暑さが押し寄せてくる。九州の夏は、朝からまるで蒸し器の中にいるようだ。ばあちゃんは昨日から親戚の家に出かけていて、家には僕一人きり。いつもは騒がしいはずの家が、...

今年も家庭菜園にチャレンジ
例年になく、今年は暖かくなる時期が遅く種まきが遅くなり実を結ぶ頃には寒くなって収穫出来ないのでは心配ですが、寒くなる前までに一気に大きくなってくれることを願ってます。トマトとナスはすでに小さな実を結びました。栽培してる本人はトマト好きではな...

AKIRA-1
昭和の光と影がまだ色濃く残る時代。日本の片田舎に、AKIRAは末っ子の男子として生を受けた。家は五人家族。共働きの両親、年の離れた兄、そして優しいけれどどこか厳かな祖母。日々忙しく過ぎてゆく家庭の中で、家族が顔を合わせるのは夕食のひとときだ...