アキラ AKIRA-4 夏といえば、誰がなんと言おうと花火だ。中でも、AKIRAが夢中になっていたのは――水中花火だった。街は夕焼け色に染まり、暑さがようやく和らぎはじめると、AKIRAはそわそわと橋へ向かった。手にはいくつかの花火と、擦り減ったライター。川の流れ... 2017.07.18 アキラ
アキラ AKIRA-3 チリンチリン…… チリンチリン……古ぼけた黒電話のベルの音が部屋の静けさを破った。「はい、川崎です」寝ぼけ眼で受話器を取ると、受話器の向こうから甲高い声が飛び込んでくる。「ばあちゃんに代わって」「ばあちゃんは今いないです」「じゃあ、帰っち来... 2017.07.15 アキラ
アキラ AKIRA-2 今日は、いつもよりずっとまぶしい朝焼けで始まった。窓を開けると、むわっとした蒸し暑さが押し寄せてくる。九州の夏は、朝からまるで蒸し器の中にいるようだ。ばあちゃんは昨日から親戚の家に出かけていて、家には僕一人きり。いつもは騒がしいはずの家が、... 2017.07.12 アキラ
アキラ AKIRA-1 昭和の光と影がまだ色濃く残る時代。日本の片田舎に、AKIRAは末っ子の男子として生を受けた。家は五人家族。共働きの両親、年の離れた兄、そして優しいけれどどこか厳かな祖母。日々忙しく過ぎてゆく家庭の中で、家族が顔を合わせるのは夕食のひとときだ... 2017.07.09 アキラ